【まとめ。これ知っておけばOK】
子宮内検査には順番があります。
炎症→菌バランス→着床タイミングの流れを守ることで、
無駄な治療を防ぎ、着床成功率を高められます。
■なぜ子宮内の検査が必要なの?
不妊治療では「良好胚を移植したのに妊娠しない…」という場面がよくあります。
このときに見逃されやすいのが“子宮側の原因”です。
子宮内は、胚にとっての“ベッド”のような場所。
そこに炎症があったり、菌バランスが乱れていたり、胚の到着タイミングと合っていないと、どんなに良い胚でも根づくことができません。
胚の質ばかりに目が向きがちですが、 着床する“土台”が整っていなければ、良胚でも着床できないのです。
そこで重要なのが、「子宮の状態を見える化する検査」。
体外受精や胚移植を成功に導く“基盤づくり”として、いま非常に注目されています。
“胚の問題じゃないのかも?”って気づけるきっかけになるかも!
■なぜ順番が大切?
子宮内の検査には、それぞれ「見る対象」と「測るタイミング」が異なります。
たとえば炎症の有無を見る検査と、着床のタイミングを見る検査は、まったく目的が違います。
この順番を間違えると、本来出るはずの結果が出なかったり、誤った診断に繋がることもあるのです。
例:炎症がある状態でERA検査をしても、結果に信頼性がありません。
また、フローラ(菌バランス)が乱れたままだと、着床率自体が落ちてしまいます。
「見たいこと」を明確にし、それに合った順で検査することで、 治療のムダ・時間・費用を減らし、成功率を高めることができます。
■各検査をわかりやすく一言で!
🐶Alice検査
「警察犬がにおいで犯人(菌)を嗅ぎ分ける」ような検査。
DNAで見えない菌を特定し、子宮内の“隠れた炎症”を発見します。
🔬EMMA検査
「高性能なDNA顕微鏡で住民(菌)の町内会を観察する」ようなもの。
善玉菌と悪玉菌のバランスを見て、住み心地の良い町かどうかを評価します。
⏰ERA検査
「子宮のカレンダーと腕時計をピッタリ合わせるタイムチェック」。
胚が訪れる“予約時間”と子宮の“準備時間”が合っているかを調べます。
🔍CD138検査
「子宮内を定期健診で診てもらう内科検診」みたいなもの。
顕微鏡で細胞を直接見て、炎症細胞がいないかを確認します。
📹子宮鏡
「お部屋の内装をカメラでチェック」するホームインスペクション。
ポリープや癒着など構造上の問題を見つけることができます。
■検査の正しい順番
子宮内の状態を正確に把握するためには、「検査の順番」がとても重要です。
各検査は独立しているようでいて、実は前提となる条件や影響を受ける項目があります。
たとえば、炎症がある状態でERA検査をしても、内膜が本来の状態ではないため、結果が信用できません。
逆に、菌バランスが整っていないまま着床のタイミングを調べても、内膜の状態が変化していて正しい判定ができないことがあります。
それぞれの検査には最適な実施タイミングがあります。
以下の順番で進めるのが、最も一般的かつ安全です:
- ① CD138またはAlice検査(炎症チェック)
- ② EMMA検査(菌バランス)
- ③ ERA検査(着床タイミング)
- ④ 必要に応じて子宮鏡(構造異常の確認)
この順序なら、無駄な再検査や誤診リスクを減らし、時間・お金・心の負担も抑えられます。
順番、あなどるなかれ!先にERAしたら全部ムダになることも…
子宮内の検査は以下のように段階的・論理的に進めていくことが推奨されます。
⸻① CD138染色 or Alice検査|炎症の有無を確認
まず最初に、子宮内膜に炎症(慢性子宮内膜炎)があるかどうかを調べます。
炎症があると、その後に行うすべての検査(特にEMMA・ERA)が正確に判断できなくなるため、最優先で確認すべき項目です。
- CD138検査:簡易で低コスト。形質細胞(炎症細胞)の有無を免疫染色で確認。
- Alice検査:病原菌の種類・量をDNAレベルで特定。精度・再現性に優れる。
CD138が陰性でもAliceで陽性になるケースもあり、両方受けることで炎症の有無を高精度に把握できます。
⸻② EMMA検査|子宮内フローラの善玉菌バランス
炎症がないことが確認できたら、次に子宮内の菌バランス=“フローラ”をチェックします。
子宮は善玉菌(ラクトバチルス)が多いほど、着床しやすい環境になります。
- ラクトバチルスが80%以上なら「優勢型」で良好。
- 40%未満なら「劣勢型」とされ、プロバイオティクス治療の検討が必要。
この検査はAliceと同時に採取できるため、一度の検体提出で二重チェックが可能です(Igenomix社の検査)。
⸻③ ERA検査|着床の最適タイミングを確認
菌バランスが整っていることを確認したら、最後に「いつ移植すればいいか?」を調べます。
ERAは、子宮が胚を受け入れる“時間帯”=着床の窓が、標準よりズレていないかを判定する検査です。
- 標準:移植5日目が最適(70%の人はこれに合致)
- ズレあり:±1日ずらすことで着床成功例あり
ただしERAは、子宮内の状態が安定していることが前提です。
炎症や菌の乱れがあると、検査結果そのものが不正確になるため、必ず①②の後に行います。
④(必要に応じて)子宮鏡検査|物理的異常のチェック
CD138やAliceで異常がなかったのに着床しない場合や、ポリープ・癒着・中隔などが疑われる場合には、子宮鏡で内腔を直接確認します。
- カメラで子宮内を観察するため、視覚的に異常がわかりやすい
- ERAよりも前に行うことで、正確な“窓”の評価にも役立つ
術後は子宮内環境が一時的に変化するため、検査や移植のスケジュールを調整する必要があります。
⸻以上が子宮内の検査を行う正しいステップです。
ひとつひとつ丁寧に確認することで、「なんとなく妊娠しない」を「納得できる原因解明」へと変えていくことができます。
■受けなかったらどうなる?
妊活が上手く行かない場合、各検査は「省略してもいいオプション」ではありません。
“見逃し”を防ぐための重要なステップです。
- Aliceを受けない → 見えない炎症が原因で着床失敗・化学流産を繰り返す
- EMMAを飛ばす → 善玉菌が少ないまま移植しても、育ちにくい状態が続く
- ERAを省略 → 移植のタイミングがズレて、貴重な胚を無駄にするリスク
“もう一歩で妊娠だったのに…”というすれ違いを防ぐためにも、 順番に丁寧に子宮の状態をチェックしていくことが大切です。
見えない原因も、“順番通り”でちゃんと見えてくるよ!焦らずいこうね。
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